共和国寄宿舎

ティラニィ
聞いているのか
ダンタレス!
ブライバブル
荒れているな ティラニィ。
帝国との話し合いが進まないからと
人に当たるのは 見苦しいものだぞ。
エキュアル
いや ティラニィだけを責められない
まるで ヤツらにその気がないのだから
当事者のティラニィが面白いわけがない。
ブライバブル
だが 帝国がバーランドに侵攻したのも
元はと言えばバーランドの内乱が原因だ
領主のお前がまず反省すべきであろう?
ティラニィ
わかっているとも ブライバブル・・・
帝国軍に聖地守護の大義名分を与え
侵攻を許した責任は・・・感じている。
ダンタレス
ですが 聖地エルベセムへの玄関口である
バーランドは軍事上の重要拠点でもあります
内乱がなかったとしても いずれ帝国は・・・。
エキュアル
その通りだよ ダンタレス・・・
あそこを 誰が統治していようが・・・
エゴを振り回す 愚かな民衆のある限り
帝国の侵攻は止められなかっただろう。
ブライバブル
帝国と別れて歴史の浅い我が共和国には
共和の意味を理解せぬ者が多過ぎるのだ
そこを帝国につけ込まれたと言うわけだ。
ティラニィ
我々がこれだけ苦労しているのに
それを茶化すようなヤツらがいるのも
まったく・・・我慢できかねることだ。
エキュアル
茶化すようなヤツらというと・・・?
ティラニィ
どうしたブライバブル・・・忘れたのか
バリアント将軍の言っていたヤツらだよ。
ブライバブル
忘れては・・・いない しかし・・・
ここでそれを持ち出さんでも・・・。
ベネトレイム
その話 私にも聞かせてくれ。
どうだな・・・シンビオス・・・
父コムラードの代理役は慣れたかな?
ふふ その様子ではまだのようだな。
ティラニィ
コムラード殿・・・体調のためとは言え
この重要な会議に出席頂けぬとは残念だ
こんな時こそ 彼に来て欲しかった。
ベネトレイム
シンビオスを 選んだことに不服かね
バリアント将軍の方が良かった・・・
そう言いたいのかな ティラニィ?
ブライバブル
バリアントが 会議に出たがっていて
それを気にしてるんだろ ティラニィ
だが 彼は会議には出せんよ・・・。
ベネトレイム
バリアントは 血の気が多過ぎるのだ
良い男だが興奮したら手がつけられぬ
交渉ごとには向かぬ気性の持ち主だ。
ティラニィ
ううむ・・・。
ベネトレイム
だいいち ダンタレスを望んだのは君だ
ダンタレスは武勇に劣らず忠誠に厚い
主人の同行という名目なくして来まい?
ダンタレス
シンビオス様は まだまだお若いため
確かに経験が必要でしょうが・・・
きっと将来 共和国を支えましょう。
シンビオス
・・・・・・。
ベネトレイム
面白い話をしていたな ブライバブル?
ブライバブル
うむ・・・ああ ヤツらのことか
大した話しでは・・・ないのだがな。
ティラニィ
控えの兵たちの駐留地バルサモの町に
おかしな者たちがいると聞いたのだよ。
ベネトレイム
ほう おかしな者たちがな・・・。
エキュアル
ヤツらとは・・・バリアントが言ってた
仮面の異教僧のことでしたか・・・。
シンビオス
・・・・・・。
ダンタレス
和平会議の開催前よりバルサモに投宿し
和平祈願を続ける謎の異教僧達がいると
バリアント将軍が言っておられました。
ベネトレイム
仮面の・・・異教僧・・・。
ダンタレス
この大陸にエルベセム神がありながら
どうして異教がはびこるのでしょう?
エキュアル
民衆にとって理想の生活とは・・・
当然 与えられるべき権利なのだよ
得られぬのは政治や宗教が悪いのだ。
ティラニィ
勝手なことを・・・吹聴しているらしい
国家再編と絶対秩序を実現するのだそうだ
我々が目先の平和も実現できぬのに・・・。
ダンタレス
ずいぶん 気になさっておいでですね
ヤツらに何か心当たりがお有りですか?
ベネトレイム
その異教徒たち・・・本当だろうか
和平の祈願が目的と吹聴しているが
もしも・・・ヤツらの狙いが・・・。
シンビオス
・・・・・・。
ティラニィ
千年王国思想とかの流布が目的だろう?
バーランドでは山ほど聞く世紀末思想さ
神の降臨により平等の国ができるそうだ。
ブライバブル
ベネトレイムは極端に悲観論者だからな
なあに おかしな連中には事欠かない
いちいち気にしていては身が保たんよ。
ベネトレイム
もしも・・・その仮面の異教僧たちが
私が耳にした者たちのことであるなら
とても楽観的にはなれぬよ・・・。
ティラニィ
その話は また今度にするとしよう
我々は帝国との和平を実現するため
サラバンドまでやってきたのだから。
エキュアル
さて 今日の帝国との和平会議ですが・・・
まだ時間のある間に作戦を・・・。
ブライバブル
何だ?
マスキュリン
お話し中・・・恐れ入りますが・・・。
サラバンドの ご使者がまいりました。
ブライバブル
会議には 間があるはずだが・・・。
ベネトレイム
よろしい お通ししなさい。
使者らしき男
本日の和平会議へ・・・
お迎えに参りました。
ブライバブル
予定より だいぶ早いようだが?
使者らしき男
我が主グラビーが申しますには・・・
帝国と共和の両首脳をお招きしながら
和平が進展しないのは申し訳ない限りだ
つきましては 正式の本会議に先立ち
下打ち合わせに両元首をお招きしたい。
ブライバブル
ずいぶん 急な話だな・・・。
ティラニィ
正式な会議としないのは・・・
体の良い人払いというわけか?
ベネトレイム
会議に 多くの者が介せば・・・
多くの思惑で 泥沼化してしまう
2人で 直接解決しろということだな。
よし・・・行こう。
ブライバブル
供も付けずに 行くつもりか?
ベネトレイム
エキュアルに 供を頼もう。
ティラニィ
当事者の私ではないのか!
ベネトレイム
思惑があると・・・会議が進展しない
グラビー殿のお心配りを考えた場合
ティラニィは・・・出席せぬ方がよい。
シンビオスにも 仕事を頼みたい。
お前は 我々と違い顔が知れていない
サラバンドの 隅々まで話をして歩き
我々では 入手できない情報を集めよ。
シンビオス
・・・・・・。
ベネトレイム
今日 私とドミネート皇帝が会って
それで全てが丸く収まるほど甘くない
・・・社会とは 複雑なものだぞ。
それに お前は父に似て真面目過ぎる
周りに気を使い過ぎては息も詰まるぞ
・・・社会の複雑さも見てくるがいい。
ダンタレスにも 教えておくことがある。
帝国の騎士キャンベルといったか・・・
帝国の第3王子メディオン殿の供として
このサラバンドに来ているそうだよ。
ダンタレス
キャンベルといいますと・・・
もしや あの勇猛な騎士・・・。
ベネトレイム
かつて・・・国境での小ぜりあいの際
お前と見事な戦いをした あの騎士だ
町のどこかで 会えるかも知れぬな。
お待たせしましたな。
ブライバブル
行ってしまったな・・・。
ティラニィ
我々は どういたしましょう?
ブライバブル
・・・待つしかあるまい。
そなたには 仕事が与えられたであろう
シンビオス・・・行ってまいるが良い。
グレイス
置いてけぼりに しないで下さいね。
ダンタレス
おお グレイスか。
で・・・マスキュリンはどこだ?
グレイス
あの子 怒られると思って・・・
小さくなって 隠れていますわ。
ダンタレス
当たり前だ 会議中だというのに
窓から 中をのぞき込みおって
おかげで オレが大目玉だ・・・。
グレイス
許してやって頂けません・・・
今は とても反省しておりますわ。
シンビオス
・・・・・・。
ダンタレス
そ そんな・・・簡単に許しては
マスキュリンのためになりません。
シンビオス様が それほど言うなら
今度だけは 見逃しましょう・・・。
グレイス
出てきていいわよ マスキュリン!
ダンタレス様から お許しが出たわ。
マスキュリン
えへ・・・さっきはごめんなさい。
ダンタレス
マスキュリン お前な・・・。
な なんだ・・・花じゃないか?
どうしたんだ これが・・・。
マスキュリン
先程のご使者から頂いたんですけど
さっきのおわびに差し上げます。
ダンタレス
そんなものよりも だな・・・。
マスキュリン
シンビオス様は いかがですか?
ダンタレス
お前 人の話はな・・・。
マスキュリン
はーい なんでしょう?
ダンタレス
もういいよ・・・。
マスキュリン
えへへ・・・。
ダンタレス
ベネトレイム様のお心遣いのおかげで
堂々とサラバンドを見て歩けるのです
早速 まいるといたしましょう。
ブライバブル
サラバンドの西に 帝国の寄宿舎がある
新しい情報が 色々と聞けるかも知れん
多くの人と 話してみるとよいだろう。
ティラニィ
お父上のコムラード殿が来なかったのは
共和国にとって多くの痛手になっている
その分 お前が役立たねばならぬのだ。