レイルロードの町

ダンタレス
遅かったじゃないか グレイス!
グレイス
駅で列車の時間を確認していたら
ちょうど列車が入ってきて・・・。
ダンタレス
そうか・・・機関車を見たのか?
マスキュリン
もおお グレイスったらずるいわ
だから 私も行くって言ったのに!
グレイス
あんな大きなものが動くなんて・・・
この目で見たというのに信じられない
本当に あれに乗るつもりですか?
ベネトレイム
プロフォンド軍が見あたらないのでは
自力で 共和国に戻らねばならん・・・
それには汽車に乗るのが得策という訳だ。
シンビオス
・・・・・・。
グレイス
そのプロフォンド軍の消息は
もう つかめたのですか?
マスキュリン
帝国のガーゼル軍の 急な襲撃があって
それを迎え撃って まだ戦闘中らしいわ
・・・私たちは置いてきぼりってワケ。
オブライト
敵の指揮官 ガーゼル将軍は猛将です
いくらプロフォンド将軍と言えども
戦場を移動するので手一杯なのでしょう。
ダンタレス
それにしても 帝国の手回しが良すぎる
我々の向かう先を知っているかのようだ
先手先手を打たれているのが気に食わん。
ベネトレイム
出発の時刻には まだ間があるようだ
汽車がどんなものか見るのも良い勉強だ
行ってきてはどうかな シンビオス。
マスキュリン
ああっ シンビオス様ったらずるい
グレイスも見てきたっていうのに!
ベネトレイム
良いだろう お前も行ってきなさい。
本陣
ベネトレイム(軍師)
シンビオスよ 汽車を見てくるが良い
同時にグラビー総督の作った町の活気を
その目と耳で確かめてこなくてはならん
そうした体験のひとつひとつがきっと
新しい共和国の未来像に役立つはずだ
ただ・・・町の外に出てはならんぞ。
ダンタレス
プロフォンド軍が帝国軍と戦うことで
今この辺りには帝国軍の姿がありません
このまま 我々が汽車に乗り込むまで
帝国軍が現れなければ良いのですが。
グレイス
蒸気機関って スチームの力でしょう
あんな大きな馬車を何両も引く・・・
これをテクノロジーというのですね。
ヘイワード
おれは 傭兵として世界中を歩いたから
レイルロードの町なんかに興味はないよ
しかし共和国育ちのシンビオス様には
珍しいことばかりなんじゃないかな?
町の隅々まで歩き回って見ると良いよ。
オブライト
プロフォンド軍が戦場を移したのは
帝国のガーゼル軍を引きつけるため
オトリになったのに違いありません
プロフォンド将軍とはそういう方です
私も・・・あの方の力になりたかった。
女性
初めてのレイルロードの町は いかが?
はい
女性
そんなに 気に入ってもらえて良かった
こんな近代的で清けつな町に住んでると
他の場所に住むなんて考えられないのよ。
いいえ
女性
えっ この町が気に入らないっていうの
この町が嫌いなんていう言葉を聞いたの
ここを訪れた人で初めてだわ 変な人ね。
ハチマキのおっさん1
お前 あこがれだけで将来を考えるなよ
オレは元々 帝国の下っ端兵士だったが
汽車にあこがれて ここにやってきた
しかし 世の中は甘くないぜ・・・
要領の悪いオレなんかにつとまるのは
荷揚げ仕事ぐらいだったのさ とほほ。
ハチマキのおっさん2
ふう やっと荷揚げの仕事が終わった
さあて 酒場で一杯ひっかけて・・・
次の汽車の荷揚げに備えるとするか!
若者
レイルロードを初めて訪れた人々は
みんな 汽車を見ておどろくのです
そして一度は乗りたくなるのですよ
しかし汽車は貿易のために作られたため
客車が少ししか用意されていませんから
乗車賃は目の玉が飛び出るほどなんです。
おばさん
レイルロードは物資が豊かじゃない?
戦争で町の守りが手薄になるだけに
盗賊の動きが活発になると心配だわ。
おっさん1
さて そろそろ上りが発車の時刻だな
デストニアで大きな商売があるから
絶対に乗り遅れる訳にはいかないんだ。
おっさん2
私は商売でアスピアに行くのですが
共和国はとても貧乏な国ですからね
大した商売にはならないでしょうな
共和国が貧しいのも当然な話で・・・
収穫を等分に分配しているようじゃ
働きがいもなくジリ貧になりますよ。
おっさん3
プロフォンド将軍とガーゼル将軍・・・
いやあ 見応えのある戦いでしたなあ
心情としては共和国を応援してますが
帝国領内の戦いということもあってか
帝国軍が数では勝っていたようですよ。
男の子
パパはね 汽車の運転手なんだよ!
お兄ちゃん・・・おどろかないの?
普通 汽車の運転手はエリートだから
みんな ビックリするんだけどな・・・。
お兄ちゃんは どこかの偉い人でしょ?
汽車の運転手におどろかない人はね
たいてい 偉い人に決まってるもの。
女の子
私・・・レイルロードの町が嫌いなの
みんな お金に目がくらんでいて
私のこと ちっとも構ってくれない。
爺さん
あんた あの汽車の煙が見えるかの?
あれが文明というヤツの正体じゃな
ううむ 何度見てもホレボレするのう。
婆さん
ジイさんは 汽車の煙が好きですが
私はねぇ・・・汽車が町を通るたびに
洗濯物が真っ黒になるので困ります。
駅員1
ただいま 到着しました輸送列車は
上りの帝国首都デストニア行きです
下りのアスピア共和国行きの汽車は
定刻に到着の予定となっております
もうしばらくの間 お待ち下さい。
駅員2
あんたたちは乗車券を買ったのかね?
はい
駅員2
ふえーっ すごい金を持ってるんだね
汽車の乗車券を買える金があったら
大きな家が1軒買えるというのに!
いいえ
駅員2
あんたたちじゃなかったのか・・・
考えてみりゃ あんたは若いんだから
あんなのに乗って楽してちゃダメだよ
汽車のような乗り物で移動していると
いつの間にか・・・足腰が弱くなって
何もできない身体になってしまうんだ。
教会の駅員
レイルロードの町ではボク以外には
だれも教会になんて 来やしないんだ
町が豊かになりすぎたせいかな・・・
でもそのおかげで ボクはこうして
駅の仕事をさぼっていられるんだけどさ・・・。
神父
人でいっぱいの教会というのも変ですが
人のあまり来ない教会というのも・・・
私のやりがいにもひびくというものです。
町長の家の婆さん
汽車という文明の利器が生まれたことで
大量の物資が運べるようになりました
しかし その受益は一般の者に回らず
結局豊かな者がさらに繁栄するばかり
この矛盾は将来も続くのでしょうか?
村長
グラビー総督は ここに鉄道を通して
村を発展させると約束してくれたので
村長の私も快く申し出を受け入れた
ところが鉄道が通って豊かになったのは
鉄道関係者とサラバンドだけだったのだ
こんなことなら止めておけば良かった。
酒場のおっさん1
ヒック 思った通り帝国軍はいない
しめしめ これなら荷置き場は・・・。
・・・聞いていたんじゃないだろうな?
もし 聞いていたなら・・・忘れるんだ
寿命が縮まるのはイヤだろ・・・ヒック。
酒場のおっさん2
兄貴は酔っぱらうと いつもこれだ
考えてることを口に出すクセがある
シラフ親分にあれだけ注意されても
相変わらず直りゃしないんだからな。
酒場のハチマキ親父1
あんた どうやら共和国の人らしいな
共和国は枯れた土地に建国されたから
貧しくても仕方がないと思うんだよ
帝国が豊かな土地にあるといっても
重税で吸い上げられてりゃ同じだしね。
酒場のハチマキ親父2
共和国軍と帝国軍が戦争を始めようと
オレたちには・・・関係のない話だぜ
帝国が破れ 共和国の統治になろうと
暮らしが楽になる訳でもなし・・・
国民は いつも支配される側なのさ。
酒場のハチマキ親父3
汽車で輸送するための荷物の置き場は
駅の西の踏切を渡った北の倉庫なんだ
あそこは汽車の発着時以外無人だから
盗賊に目をつけられたらヤバイだろうな
まあ オレが心配しても仕方ないことさ。
酒場のハチマキ親父4
荷揚げの仕事は そりゃあ金になるよ
だけど こうして酒を飲むものだから
ちっとも 貯金なんかできないんだ。
ジュリアン
あんた ヒュードルを知ってるかい?
はい
ジュリアン
ほう・・・知ってるとはおどろいたな
すると千年王国の伝説も知ってるのか?
はい
ジュリアン
これは 本当におどろいたぞ・・・
どこから その知識を得たのか知らぬが
アスピニア人は ずいぶん博学らしいな
ヒュードルが地上から姿を消して千年だ
各地でヒュードルの目覚めの予兆があり
それに起因する事件が相次いでいるのさ。
いいえ
ジュリアン
千年前ヒュードルが作った彼らの王国は
ある日突然地上から姿を消すまでの間
人類を恐怖と絶望で統治していらしい
王国の終幕は空から放たれた光らしいが
活動する力を奪われたヒュードルたちは
呪縛の解ける時を千年間待っていたんだ。
いいえ
ジュリアン
千年ほど昔 地上に君臨していた・・・
悪の超人のような存在だと思えばいい
ずっと西のエンリッチという国では
そいつによって国が滅びそうになった
あれから もう十年が過ぎた・・・。
駅長の妻
宅の亭主は現在 駅で職務の最中ですわ
なんと言っても 駅長でございますから
町長のようなものざんすわね おほほほ。
駅長の家の女性
奥さんは 良い方なんですけど・・・
ご主人の職業の自慢をすることだけは
なんとか やめてもらいたいものです
坊ちゃんにまで 奥様の口調が移って
私の頭・・・どうにかなりそうですわ。
駅長の子供
ボクのパパは駅長さんなんざんすのよ
その上グラビー総督とも友達付き合い
この家にも遊びに来るざんす おほほほ。
住宅1のおっさん
今日は非番で休みなんだけどよぉ
毎日 肉体労働ばかりだからさ
身体のアチコチが痛いぜ アイタタ。
住宅2のおっさん1
オレは駅の荷揚げの仕事が長いから
みんなが知らないことも知ってるのさ
サラバンドは食料だのの輸送の他に
武器の密輸を・・・やっているんだ
あの荷は絶対 武器に間違いないぜ。
住宅2のおっさん2
オレは汽車に乗ったことがあるのさ
どうだ おどろいたと正直に言いなよ
でも あの時は変だったよなあ・・・
駅のないところで荷下ろしをさせられ
・・・受け取ったのは共和国軍だった。
住宅3の若者
自分の住む土地にいくら鉄道が通っても
乗れないのでは意味なんかないんです
汽車が通れば うるさいし揺れるしと
良いことなんかひとつもありません。
住宅3の女性
男の人って本当に夢がないのよ・・・
汽車を見て一生を過ごせるぜいたくは
願ったって普通はかなわないのにね。
住宅4のおばさん
私は汽車の旅をしたことがあるのよ
今思い出しても・・・素敵だったわ
家一軒では片道分にしかならないのに
駅長さんが格安で乗せてくれたおかげで
往復の旅ができたわ もう死んでも良い。
住宅4のおっさん
駅長さんの家は 元は私の家だった
汽車に乗りたいばかりに家を手放し
今では こんな狭い部屋暮らしだよ。
住宅5のおばさん
うちの亭主は 昔のことが忘れられず
毎日グチばかり言っているのですけど
グラビー様のウワサは本当らしいですよ。
住宅5のおっさん
ワシが落ちぶれたのも全ては鉄道のため
・・・蒸気機関なんてものがなければ
今でも帝国一の大商人だったはずなのだ
グラビー総督は本当にひどいヤツなんだ
自分の領土を化け物に引き渡す代わりに
蒸気機関を手に入れたというウワサだよ。
民家1のおっさん
あんたは物乞いじゃないようだな・・・
先日 エルベセムの僧だという男が来て
なんくせをつけられ困ってしまったよ
だいたい 私は信仰心が薄い男なんだし
あそこの僧がひとり旅なんて考えられぬよ
僧服の少年を探していると言ってたな。
民家1のおばさん
あなた・・・共和国の人じゃないの?
レイルロードで身なりを整えなさいな
それだけで 見違えること請け合いよ。
駅員詰め所の駅員1
汽車は 1日に数本しか出ないのに
職員だけは 大勢いるんじゃよ
汽車の輸送費がべらぼうに高いのは
そうした人件費もあるからじゃろう。
駅員詰め所の駅員2
汽車に関連した ほとんどの職員が
グラビー様にゆかりのある者だけど
クアース村出身の職員てのはいないね
クアース地方の領主だったグラビー様が
どうやって蒸気機関を手に入れたのか?
それを知られたくないというウワサさ。
配送センターのカウンター
あら大変 次のデストニアからの便で
グラビー様への贈り物が届くんだわ
これだけは 直接受け取りましょう!
配送センターの若者
みんな 鉄道関係職員といったって
実際に汽車に乗った者は誰もいない
荷置き場の荷にでもうまく隠れたら
汽車に乗ることができるかも知れない
・・・実行する度胸はないんだけどね。
マスキュリン
シンビオス様 お忘れですか?
町の外に行ってはいけないとの
ベネトレイム様のお言葉でした
今はまだ 町の中だけの探索で
我慢することにしましょう?